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[jfriends] Re: 魔法のおなべ




前橋です。

たかはし さん:
>オープンソースと、契約関係によるソースコードの納品とは意味が
>異なります。「同業他社によるピアレビュー」という表現があること
>から、開発企業と競合関係にある企業がそのソースにアクセスできる
>ことになります。これはインハウスでソースを客に納めることとは
>まったく違うでしょう。

ソースを納品した以上、そのソースを他のベンダに回して保守して
もらおうが、それは顧客側の勝手だったような気がするんですが、
違ったっけな? (下っ端なので、契約がどうなってるかはよく知りません)

それ以前に、インハウスな開発で開発したソフトなんてのは、その
お客さんの業務に特化しており、公開自体に問題がある可能性もあ
ります。つまり、もともと、サービスとしてのインハウスなソフト
開発と、汎用的なパッケージソフトの開発とでは、問題がかなり異
なるということです。

# 材木にのこぎり入れるソフトなら、オープンソースにする価値な
# し、とは、「魔法のおなべ」にも書いてあった。

「魔法のおなべ」が取り上げているのは、誰もが欲しがるような汎
用的なパッケージソフトウェアのことではないでしょうか?

だとすれば、

・ソフト開発の95%はインハウスな開発だ。
・インハウスな開発はサービス業だ。

これはこれで事実でしょうが、パッケージソフトをオープンソース
にするかどうかの論拠としては、どうもズレてます。

私は、会社では WindowsもOfficeも使ってますけど、Microsoftの
サービスマンのお世話になったことはないです。

>オープンソースによる開発では、そのときに他社の参入機会が増える
>ため、ロックインが発生せず、常にオープンな競走があります。

確かに、インハウスな開発で、「ロックイン」が発生する一因とし
ては、システムの一部にベンダのパッケージソフトが入ってて、そ
れがクローズドになっているから、というのもありますが...
# でも、そういう例は、インハウスな開発のうちの一部だと思う。

このパッケージソフトを、オープンソースにしてくれれば、そりゃ
ユーザにとっては嬉しい限りですが、じゃ、最初に、高い開発資金
をかけてパッケージを作る会社は、単にババ引く役になっちゃいます。

Linuxがオープンソースで成功しているのは、LinusさんやGNUが、
その最初のババを引いてくれたからです(で、Stallmanは今になっ
て怒ってる(-_-;; )。

この辺、ESRもやっぱりまずいと思ったようで、後の方になると、
パトロン制がいるねえ、なんて話になっちゃってます。

>>でも、パッケージソフトを開発するには、多額の費用がかかってい
>>る筈です。それを、パッケージソフトそのものに対する対価として
>>回収するのではなく、サービスに対して課金して回収する、という
>>形は、どこかいびつです。
>顧客にとってはパッケージソフト自体が欲しいのではなく、パッケージ
>ソフト等によって組上げられたシステムが生み出す価値が欲しいので、
>サービスに課金されることが自然かと思います。

それを言うなら、自動車が欲しいんじゃなくって遠くへ行くサービ
スが欲しいんだとか、冷蔵庫が欲しいんじゃなくて食品を冷やす機
能が欲しいんだとか、そういう話になっちゃうと思うんですが...

昔、Javaが出てきた頃、使う度に課金するApplication on demand
なんてのがもてはやされましたが、そういうスタイルなら、お客さ
んが欲しいものに課金しているという点で、自然かも知れません。
# そういや、Application on demandって、どこ行っちゃったんだ?

でも、毎朝出勤するときにタクシー呼ぶ人はいないように、ワープ
ロにそんな課金されちゃあ、面倒くさくってしょうがないです。
頻繁に使うモノは、レンタルじゃなくて購入するもんです。こうい
う場合、ユーザは、製品そのものを欲しているのです。

>>当たり前ですが、パッケージソフトは、その出来が良ければ良いほ
>>ど、後で売るサービスは少なくなるものです。
>出来がよいパッケージソフトほど多種多様なシステムに適用できる
>ので、サービス価値が高いのではないでしょうか。それともサービス
>とは不具合対処のことですか?

ソフトウェアに対するサービスとは、インストール・不具合対処・
バージョンアップ・移植などでしょうね。

たとえば、インストーラを簡単便利にすればするほど、インストー
ルのサービスに対する対価として得られる報酬は下がります。

移植だって、リコンパイルだけで済んでしまえば、お金は取れない
でしょう。

労働価値説的に報酬がその手間で決まるなんて変だ、リコンパイル
だけだろうが、お客さんにとって大きな価値があるなら、それだけ
の対価を支払うべきだ、というのが実は正論なような気もしますが、
オープンソースな環境下では、それは無理です。

最初からそれなりに使えるソフトなら、バージョンアップはお客さ
んにとって単なる迷惑だったりします。私はいまだにOffice95です
し、それどころか、何で書いてもいいよ、と言われたら、LaTeX(2e
にあらず)を使います。インストールしたのは、かれこれ5年ぐらい
前になるのかな。それ動かしているOSは、SunOS4.1.2です。ちなみ
にマシンはSparcStation2です。

# Windowsも、できれば95を使っていたかったんですが、マシンを
# 変えたらプレインストールでWin98になっちゃった。ムチャクチャ
# 不安定で悲しい(;_;)

私がやった頃は、LaTeXのインストールも大変だったんですが、今
なら、PC-UNIX環境下なら、パッケージ一発ですし。

KnuthさんとLamportさんには感謝してますが、お金を払う機会とい
えば、TeX BookとLaTeXの本を買ったぐらい?

ソフトをフリーにして、マニュアル売って儲けるというのも確かに
ひとつの手で、がんばれゲイツ君のページからたどったのですが、
こんなのもあるようですね。オープンソースの日本語ワープロです。

  http://www.cypac.co.jp/beatword/

開発資金はマニュアル売って回収するつもりだそうです。

でもねえ... ということは、マニュアルは(CD-ROM付きらしいけど)
コピーは不可ってことになるんでしょうかねえ。他の人がもっとわ
かりやすいマニュアル書いて売ろうとしたら、どうするんでしょう
ねえ。どうも、成功するような気がしないです。

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  前橋 和弥                             maebashi@xxxxxxxxxx
  中部ソフトエンジニアリング(株)
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